何より健康が一番という健康オタクのあなたには、まずいまだに巷で語られている日本酒に対する大きな誤解を解くことからスタートしましょう。1番目は、「日本酒は太る」というもの。日本酒に限らず、酒類のカロリーのほとんどはアルコールそのものに由来します。ですから、アルコール度の高いお酒ほどカロリーは高くなります。と、いうことは、焼酎やウィスキーなどの蒸留酒の方がカロリーが高いことになりますが、日本ではこれらのお酒は通常12度程度に割って飲まれますから、アルコール度15度程度の日本酒よりもカロリーは低いことになります。ワインが13度程度、ビール類が5度程度ですから、実際に飲まれている状況においては、確かに日本酒が最もカロリーが高いということになってしまいます。ではやはり日本酒は太るのかというと、それは違います。実は酒類のアルコールに由来するカロリーは、糖質や脂質よりも先に、最優先で熱として放出されると言われており、ほとんど体内に残ることはないと言われています。つまり、いかなる酒類であってもお酒のカロリーは、よっぽど飲み過ぎない限りは直接肥満の原因になることはない、ということなのです。また、「焼酎などの蒸留酒にはアルコール以外のカロリーはないが、日本酒などの醸造酒には糖分が含まれているため、その分のカロリーで太る」と言われる方がたまにいらっしゃいます。しかしこれも実際は、醸造酒と蒸留酒のアルコール以外の成分のカロリーの差というものは本当に微々たるもので、そのこと自体が肥満の原因になるということは、まずありません。それよりも、むしろ肥満は総摂取カロリーの問題で、何をどれくらい食べるかに起因しているのです。例えば、日本酒を飲みながら湯豆腐を食べる場合と、焼酎を飲みながら豚の角煮を食べる場合を考えてみてください。総摂取カロリーは明らかに後者の方が高くなり、太るのは後者の方ということになるでしょう。肥満が心配なら、お酒の酒類がどうのと言う前に、料理を選ぶことと食べ過ぎないことが一番なのです。
次の誤解は、「日本酒は糖尿病になる」というもの。糖尿病という病気は、血液中の糖分をエネルギーに変える働きをするインシュリンというホルモンが不足するために、摂取した糖分が有効に利用されずに血液中に増えてしまうという病気です。遺伝の可能性も否定できないようですが、その他に食べ過ぎや運動不足による肥満、ストレスなどがきっかけとなって発病し、放置すると恐ろしい合併症が出現すると言われています。そして、そんな糖尿病の傾向がある人には、「焼酎はいいが、日本酒はダメ」という声がよく聞かれます。お医者さんの中にもこう語る人が少なくないため、なかなか誤解が解けないようなのです。お医者さんの言い分としては、「蒸留酒はアルコール以外の成分はないが、日本酒には糖分が含まれているから」ということなのでしょうから、確かにもっともらしく聞こえます。しかし、実はこれも前記の肥満のところでご説明した通りです。醸造酒と蒸留酒のアルコール以外の成分のカロリーの差というものは本当に微々たるもので、そのこと自体が糖尿病の原因になるということは、まずないのです。湯豆腐と豚の角煮の例を思い出してください。そして、ここでもやはり、総摂取カロリーの問題と運動不足が最大の原因と言えます。糖尿病の予防には、どのお酒を選ぶかなどということよりも、何より大切なのが、1日に取る食べ物の総摂取カロリーの抑制と、適度な運動なのです。しかも最近では、日本酒には血糖値を下げるインシュリン様物質が含まれていることが判明し、糖尿病予防効果があるとまで言われはじめているのです。もしかしたら逆に、「糖尿病予防のために日本酒を飲みなさい」と言われる日が来るのかも・・・?
さて3番目の誤解は、「日本酒は二日酔いする」というものです。二日酔いや悪酔いの原因は、体内でアルコールが分解されてできたアセトアルデヒドのせい。どんなお酒でも飲み過ぎれば、それに応じてアセトアルデヒドが体内に増えるため、当然二日酔いや悪酔いすることになります。つまり二日酔いや悪酔いは飲み過ぎが原因であり、それはどんなお酒でも全く同じ。他酒類と比べて特に日本酒が二日酔いや悪酔いするという医学的根拠はまったくないのです。しかし先に述べた通り、他酒類と比べて日本酒は、通常飲まれる際のアルコール度数がもっとも高くなりますから、当然同じ量を飲むとするなら、もっとも二日酔いや悪酔いしやすいということにはなります。これを防ぐには、途中で「和らぎ水」(チェイサー)を飲むこと。どんな高価な薬やドリンク剤より、もっとも二日酔いや悪酔いを防ぐ効果的なものは、実は水なのです。「日本酒ときどき水」を実践すれば、少しくらい飲み過ぎた場合でも、まず二日酔いや悪酔いすることはないのです。
そしてさらに日本酒には、他の酒類以上に体に大変有効な成分が豊富に含まれており、それこそ数えきれないほどのヘルシー効果があるのです。前出の糖尿病予防効果に加え、ガンを予防・抑制する効果(秋田大学医学部の滝澤教授が日本酒にガンを抑制する物質が含まれていることを発見)、高血圧の抑制効果(ペプチドに血圧を下げる効果)、健忘症の予防効果(ペプチドに健忘症の予防効果)、老人病やボケ防止効果(血液の循環を良くし、悪玉コレステロールを除去)、心臓病予防効果(善玉コレステロールを増やし、動脈硬化を抑制)、骨粗鬆症の予防効果(エポキシコハク酸の誘導体に骨粗鬆症の予防効果)、アレルギーの予防効果(エポキシコハク酸の誘導体にアレルギーの予防効果)、抗うつ病効果(清酒酵母のs-アデノシルメチオニンの効果)、コレステロール低下作用(水不溶性繊維と水可溶性繊維、イノシトールの効果)・・・等々、科学的裏付けが取れているものだけでも多種多様な健康効果が確認されているのです。
さらにさらに、日本酒は美容についても、他の酒類以上に大変優れた効果を発揮します。美白効果(麹酸がシミやソバカスの原因になるメラニン色素の生成を抑制)、美肌効果(アミノ酸やα-グルコシルグリセロールが肌の保湿力を高める)、老化防止(麹酸が細胞の活性化を促す)、アンチエイジング(フェルラ酸に強力な抗酸化作用)、血流促進や肩こり・冷え症の改善効果(日本酒は他のアルコールより体温の上昇が2度ほど高い)、育毛効果(麹酸やアミノ酸などに育毛効果)、血液サラサラ効果(香り成分の脂肪酸エステル類に血液をサラサラにする効果)・・・等々、たくさんの美容効果が確認されています。
その上日本酒は、身体だけでなく、精神的にも大変優れた効果を発揮します。日本酒は、他のアルコールよりもアデノシンが多量に含まれており、ストレスを和らげ、リラックスさせてくれる効果があります。また、日本酒には多数の香り成分が含まれており、アロマテラピー同様、神経に対する鎮静効果や癒し効果があると言われています。このように日本酒は、身体だけでなく心の健康にも効果を発揮し、心身のバランスの良い健康を保つ効果があるのです。健康が一番というあなたが、食生活の中にほんの少しでも日本酒を取り入れることによって、きっと幸せの発見回数は増えていくはずです。そして「今この瞬間の幸せ」に気づく力が養われ、結果としてあなたの一生は幸せに包まれることでしょう。