【門前編】和食系飲食店が「withコロナ時代」を生き抜く方法!
今回は、日本酒業界にとって極めて大切なパートナーである和食系飲食店(居酒屋、大衆酒場、小料理屋、割烹、料亭、日本料理店、和バル、創作和食店、焼鳥屋、寿司店、その他和食系専門店等)が、「withコロナ時代」を生き抜く方法について、語らせていただきたいと思います。和食系飲食店を経営されてらっしゃる方は、共感していただけたなら、是非この内容をすぐに実践していただけましたら幸いです。そして、それ以外の皆様も共感していただけたならば、あなたにとって大切なお店が無くなってしまわぬよう、「推し」の和食系飲食店の方に、是非この内容をお伝えいただけましたら嬉しいです。 【「withコロナ時代」を和食系飲食店が生き抜くために】 コロナ禍は、まだ完全に収束したわけではありませんが、今後は社会的には収束に向かっていくことになります。飲食店に対する時短営業や休業要請は、もうなくなるでしょう。と、いうことは、国や都道府県からの協力金などもなくなるわけです。しかし、コロナ禍が収束したわけではありませんから、まだ当分の間は飲食店の来店客数を増やすことは難しいということになります。まさに「withコロナ時代」が到来したのだといえるでしょう。そんな厳しい時代を生き抜き、しっかりと売り上げを上げるために、和食系飲食店の方々は、まず何から始めればよいのでしょうか?飲食店の売り上げは、「来店客数×客単価」で決まりますが、しかし来店客数を増やすことが難しいとなると、売り上げをアップさせるためには、客単価を上げることしかありません。では、どうすれば客単価を上げることができるでしょう?客単価を上げる方法はいくつかありますが、まずやるべきことは、できる限り時間も労力もあまりかけずに、今すぐに取り掛かることができることからスタートすることです。それは、一言で言えば、お客様に料理と酒の注文数量を増やしてもらうことです。では、どうすればお客様に料理と酒の注文数量を増やしてもらうことができるのでしょうか?
【グルコース濃度の高い人気銘柄だけでは、料理と酒の注文数量は増えない!】 ビールや酎ハイ系のみでは、炭酸でお腹が張ってしまい、お客様の料理と酒の注文数量はあまり増えません。やはり、和食系飲食店において料理と酒の注文数量を増やすためには、日本酒が必須なのです。ところが、現在の日本酒業界は、かつての甘口酒の比ではないほど極めて甘い、高グルコ菌や酵素剤を使った、グルコース濃度が高く、かつ香りも極めて高い日本酒ばかりが人気銘柄となっているのが現状です。確かにこれらの日本酒は、これまで日本酒をあまり飲んでいなかった若者らに人気であることは事実です。一口飲んで、「うまい!」と誰でもすぐに分かりますから、もともと1〜2杯程度しか飲まない若者たちには、こういう日本酒だけでもいいのかもしれません。しかし、ある程度の量を飲みたいという方々にとっては、もう一杯に進まず、料理も進まなくなってしまうのです。また、料理も酒もあまり注文しないような若者ばかりを集客していては、たとえ来店客数が少しくらい増えたとしても、客単価は上がらず、結果として売り上げは上がらないのです。 私も何度か経験がありますが、流行りの人気銘柄をズラリとそろえた和食系飲食店で、どの日本酒を注文してもグルコース濃度の高い極めて甘い、香りも極めて高い日本酒だらけで、私はどの銘柄も1杯ずつしか飲めず、さらに料理の箸も進まず、せっかく料理は美味しかったにも関わらず、結局店を変えるしかありませんでした。勘違いしないでいただきたいのですが、私はグルコース濃度の高い極めて甘い日本酒を否定しているわけではありません。極めて甘い日本酒だらけの品ぞろえになってしまってはいけない、それらだけでは料理と酒の注文数量が減り、客単価が上がらなくなってしまいますよと言っているのです。やはり、一杯飲んだだけでは物足りないかもしれませんが、和食系料理の素材の美味しさを出汁のように下から支えて押し上げ、料理の美味しさを引き立て、ついつい料理も酒も進んでしまうという、グルコース濃度の低い辛口酒が、和食系飲食店には必須なのです! 【寿司職人の言葉「儲けさせていただいてます!」とは?】 香港で人気の寿司店の言葉を、ここで取り上げさせていただきましょう。香港にある人気の寿司店「寿司喰(SushiKuu)」さんにて開催された「TosaNight」にて、同店料理人の向川さんからお聞きした話しです。彼は司牡丹ファンだったようで、「あの司牡丹の社長がわざわざ来てくれた!」と大喜びされ、「司牡丹のお酒は辛口で、和食料理の邪魔をしないので、料理もお酒も進む。儲けさせていただいてます!」と笑顔で語られたのです。これはつまり、司牡丹のような辛口日本酒は、繊細な味わいの和食料理の素材そのものの良さを引き立ててくれるので、他のお酒で飲食する時よりも、料理の注文もお酒の注文も増えて、結果として儲かるという意味だったのです。 この言葉を聞いて以来、私は様々な飲食店の方々に、あらゆる機会にそれとなく確認してきました。そして、多くの飲食店の方々のナマの声を聴かせていただく中で、ひとつの確信を得ました。それは、「寿司喰」の向川さんの言葉はまさに正解だったということです。和食系飲食店の料理は、四季折々の旬の食材を、素材そのものの美味しさを活かすよう、繊細な調理法で作られています。そして「司牡丹」、特に「船中八策」のように人間が感じる甘みの大変少ないすっきりタイプの辛口日本酒は、そのような料理の素材そのものの良さを、出汁のように下から支え、美味しさを一層引き立ててくれる、最高のパートナーとなります。そして、料理と酒を交互にやると箸も杯も止まらなくなるのです。ちなみに和食系の中にも、比較的濃い味わいの料理もあり、そのような料理は一般的に濃い味わいの日本酒と相性が良いと言われています。しかしその組み合わせは、確かに相性は良いのですが、「もう一口」「もう一杯」には進みづらいといえます。これが、すっきりタイプの辛口酒と濃い味わいの料理を合わせた場合は、後口を洗い流すように爽やかにさせ、「もう一口」「もう一杯」に進ませてくれるのです。つまり、すっきりタイプの辛口酒は、繊細な味わいの料理と合わせても、濃い味わいの料理と合わせても、いずれにしても料理の注文数と酒の注文数を増やすことになり、結果として客単価をアップさせることにつながるのです。このことに、何となく気づいているお店も少なからずありました。そんなお店の方々は、「司牡丹は(あるいは船中八策は)外せない!」と口をそろえて語られたのです。 【なぜ、「船中八策」を定番とすることが和食系飲食店の復活につながるのか?】 ここで結論として、私はあえて「船中八策」(超辛口・純米酒)に絞り込み、「船中八策を定番とすることが『withコロナ時代』を和食系飲食店が生き抜くことにつながる!」と宣言させていただきたいと思います。なぜ「船中八策」なのかというと、まず一番の理由は、いくら定番に採用したとしても、お客様が注文してくれなければ意味がないからです。できるだけ多くの来店客に注文してもらうには、まずは目立つことです。「船中八策」の黒地に蛍光オレンジのラベルは、遠くからでもすぐに分かるほど、極めて目立ちますし、一度見たら忘れられないほどインパクトのあるラベルデザインであり、食欲をそそる色合いでもあります。さらに「船中八策」は、司牡丹の不動の人気ナンバーワン商品であるため、日本酒ファンの方ならほぼ飲んだことや聞いたことがあるはずです。そんな日本酒ファンが注文すると、それを見た「船中八策」を知らない人も影響されて注文する可能性が高まります。また、「船中八策」は、土佐の高知の辛口のイメージや、鰹と相性の良いイメージや、坂本龍馬の豪快なイメージが定着しており、ツウ好みの辛口銘柄のイメージも定着しています。そして、超辛口であり一層甘味が少ないため、司牡丹商品の中で最も食を進める効果が高く、加えて最も杯が進んでしまうという酒なのです。これらの理由から、和食系飲食店が「withコロナ時代」を生き抜くために、「船中八策」を定番として導入されることを、強くお薦めしたいと思います。 さらに、注文数を増やすためには、お客様を「動機づけ」しなければなりません。言い換えれば、「なぜ、私がこの酒を注文しなければならないの?」、「この酒を注文したら、私にどんなメリットがあるの?」というお客様の疑問に答えなければならないということです。そのためには、店内POPを掲示したり、メニューに一言を掲載することをお薦めします。この、たったPOP一枚があるだけで、メニューにたった一言があるだけで、間違いなく格段に注文数は変わるのです!以下に、POPやメニューの一言に使える事例を、3点ほど挙げさせていただきました。
「和食をグッと引き立てる超辛口!特に新鮮魚介の美味しさを引き出す効果は絶大!」
「美味しい料理をもっと美味しくして食べたい方に!やっぱりこの酒、超辛口!」
「なぜこの酒と共に食べると刺身がさらに美味しくなるのか?答えは......旨い超辛口!」
コロナ禍において、私の「推し」であった何店かの和食系飲食店が閉店してしまいました。本当に残念無念です。私はもうこれ以上、大切な店を失いたくありません。大切な店を失って悲しい思いをする人をこれ以上増やさないためにも、和食系飲食店の皆様には、是非とも今すぐにこの内容を実践していただきたいのです。もう既に「船中八策」が入っているというお店でも、このポイントにまだ気づいていないお店も少なくありませんし、事例にあげたような「POP」や「メニューへの一言」を掲示するだけでも、きっと注文数量は格段に増えることになるでしょう。 【さらなる客単価アップの方法!あるジビエ料理店の事例に学ぶ!】 以上が、最も時間も労力もかけずに、いち早く客単価アップを実現させるための方法でしたが、この次にすべきこととしてもうひとつ、さらに客単価をアップさせる方法をお伝えいたしましょう。ただしこの方法は、少し時間と労力がかかりますが。なお、ここで事例として取り上げさせていただく内容は、私のマーケティングの師匠といえる小阪裕司先生(https://kosakayuji.com/)が主宰する、「ワクワク系マーケティング実践会」の会員の方の事例です。ちなみに近年小阪先生は、「ワクワク系」をさらに進化させて科学とされ、情報学の博士号も取得され、日本感性工学会理事にも就任され、九州大学や静岡大学の客員教授にも就任されて、さらに「ワクワク系」を全国展開する事業が経済産業省の認定を受けて進行中となっています。つまり、これから紹介する事例は「科学」であり、「科学」とはそれは誰がやっても同じ結果が出せるということを意味しているのです。 東京にてジビエ料理専門の飲食店を営む、T店の事例です。T店は飲食店ですので、当然ですがコロナ禍においては来店客数が激減しました。ところが、営業日数も営業時間も来店客数も減る中で、売上をアップさせたのです。T店は一体「何をした」のかというと、具体的には、人気メニューの「ぼたん鍋(猪鍋)」(2,800円)の猪肉を「みかん猪のぼたん鍋」(3,500円)に変更したり、別々だった「ヒグマ鍋」と「月の輪熊鍋」に、「鍋で対決!ヒグマVS月の輪熊熊鍋コース」(9,800円)を加えたりと、人気商品の価値を高めて徐々に単価アップを図り、結果として客単価アップに、さらに売上アップにも成功したということです。コロナ禍以前の2019年の客単価は7,069円であったものが、2020年は8,266円、2021年は9,046円で、2022年現在では、何と1万円台になっているというのですから驚きです。このT店の実践の上っ面だけを見て、「そうか!人気商品の価格を上げればいいのか!」という判断を下すのは早計です。ここで、この実践の背後に隠れている本当の意味を「見える化」してみましょう。 まず大変重要な点は、「人がモノを『買う』までには2つのハードルがある」という、小阪先生の理論です。1つ目のハードルが「買いたいか、買いたくないか」、そして2つ目のハードルが「買えるか、買えないか」です。買いたくなっていないのに買えるかどうかを気にする人はいませんから、まずは価値を伝えて買いたくなってもらうことがファーストステップです。そしてお客様は価値を感じて買いたくなったら、セカンドステップとして買えるかどうかを判断します。買えるかどうかの判断はお客様次第ですが、ほとんどの会社やお店が価格ばかりを伝えていて、買いたくなってもらう工夫をしていません。価値を伝えて適正価格で買っていただく取り組みは、最初は不安や躊躇があります。しかし、お客様は値段に対して行動するのではなく価値に対して行動しますから、お客様にとっての価値をしっかり伝えれば、こちらが思うほど価格への抵抗はないのです。 これを踏まえて、T店の実践を見てみましょう。まず「みかん猪のぼたん鍋」ですが、柑橘類の栽培が盛んな広島の生口島の猪は、大好物のみかんばかりを食べているため、肉にみかんの味がして絶品なのですが、普通の猪の脂は白いところ、この猪の脂は黄色っぽくなるため、見栄えが悪くて売れないと嘆いている猟師さんの言葉を聞いたT店の社長が、そこに価値を見出して仕入れたことから始まっているのです。そして、新メニューの「みかん猪のぼたん鍋」を、猟師さんから聞いたストーリーをつけて販売したところ大ヒットとなったのです。「鍋で対決!ヒグマVS月の輪熊熊鍋コース」は、「ヒグマと月の輪熊はどちらがお薦めですか?」とお客様から聞かれることが多いことに気づいたT店の社長が、「この疑問に答えるメニューをつくったらどうだろう?」と思い立ったことから始まっています。そして、「ヒグマと月の輪熊ってどっちが美味しいの?はい!これでわかります!『鍋で対決!ヒグマVS月の輪熊熊鍋コース』」という、お客様の疑問に答える解決策をつけて販売したことで、こちらも大ヒットとなったのです。つまり、単純に人気商品の価格を上げればいいという話ではなく、T店のように商材の仕入れ先(猟師さん)の声を聞いて価値を受け取ることと、お客様の声を聞いてその疑問や悩みに答えるという価値を発見するということ、さらにそれらをしっかりとお客様に伝えるということが最も大切なポイントであり、それが結果として客単価アップや売り上げアップにつながったということなのです。T店の社長さん自身も、「モノを見るのではなく、猟師さんやお客さんという人を見ることで、彼らの言葉からどんどん価値をキャッチできるようになった。」と語っています。さらに、客単価をアップさせようとか売り上げを上げようとかの感覚ではなく、「お客さんにとっての楽しさをもっと大きくしていっているという感覚。」であり、「売り上げを自分でつくりだすことができるようになります。上達すれば魔法より強力です。」と語っています。 【「withコロナ時代」に商人の成すべきことは「動機づけ」と「絆づくり」の徹底!】 この「withコロナ時代」において、商人として成すべきことは、思考停止に陥らぬよう、「まずは動く」ということ、それも「考えながら繰り返す」ということです。では、何について考えながら繰り返し動くのかというと、お客様に対する「動機づけ」と「絆づくり」の二本柱に尽きます。この、お客様に対する「動機づけ」と「絆づくり」を徹底することができれば、「withコロナ時代」においても商売は安泰であるといっても過言ではないでしょう。ここまででご紹介した「船中八策」を定番とする事例も、T店の事例も、来店客を「動機づけ」することで、客単価アップにつなげるという方法でした。つまり、来店してくださったお客様を「動機づけ」して、料理と酒の注文数量を増やしたり、単価の高いメニューへの注文を増やしたりして、客単価をアップさせるということでした。そして、実は「動機づけ」にはもうひとつ、飲食店にとって欠かすことのできない、やるべきことがあります。それは、「来店を動機づけする」ということです。先にも述べたとおり、飲食店の売り上げは、「来店客数×客単価」で決まります。しかし、「withコロナ時代」においては来店客数を増やすことが難しいため、売り上げをアップさせるためには、客単価を上げることしかないとお伝えしました。しかし、いくら来店客数を増やすことが難しくとも、もし来店客数が減る一方ならば、いくら客単価をアップさせても、売り上げ減を抑えることは難しくなってしまいます。来店客数をアップさせるまではいかなくても、せめて来店客数を維持することは絶対に必要であるということなのです。では、どうすれば来店客数を維持することができるでしょうか?それこそが、お客様に「来店を動機づけする」ことであり、そのために絶対に必要となるのが、お客様との「絆づくり」なのです! まず大変重要な点をお伝えしますと、どんな商売であっても、商売を中長期的に見れば「顧客リスト」が売り上げの源泉だということです。「顧客リスト」さえあれば、その後の売り上げを上げる手法はいくらでもありますが、もし「顧客リスト」がなければ、ほとんど手の打ちようがありません。「顧客リスト」は、ビジネスにとって利益を生み出す源泉になる、最大の資産であり宝物なのです。極端な話、まだ商品がなくても、店がなくても、人がいなくても、お金がなくても、顧客さえいればビジネスは立ち上がるのです。つまり次にすべきことは、お客様に「来店を動機づけする」ために、「顧客リスト」のお客様に対して、「来店したくなるような情報を提供する」ということです。それは、手紙でもハガキでもメールでもSNSでも、手法は何でも構いませんので、とにかくお客様が「これは行ってみたい!」と思えるような情報を提供することなのです。 しかし、ここに、ほとんどの商人が間違ってしまう落とし穴があります。それは、手紙やハガキやメールやSNSで、お店の宣伝やPRばかりしてしまうということです。つまり、「あなたの言いたいこと」ばかりを伝えてしまうのです。あなたもお客様の立場になれば、たとえばDMなどを受け取って、そこに宣伝やPRばかりが載っていたらすぐにゴミ箱行きにするでしょう。それと同じことなのです。つまり、「あなたの言いたいこと」ではなく、「お客様の聞きたいこと」を伝えなければならないということです。宣伝やPRでお客様が「来店を動機づけされる」ということは、ほとんどないと肝に銘じておかなければなりません。そうではなく、「この店に行ったら、こんな楽しいことがあるんだ!」とお客様に気づいてもらうことです。たとえば、「土佐の高知の超辛口『船中八策』の夏の生酒が入荷しました!」では、単なる宣伝ですが、これを「今が旬!本場高知県直送の初鰹のタタキの未体験の美味しさを、〇〇市の皆様にも是非体感していただきたい!さらに初鰹の美味しさを倍増させる、夏しか飲めない『船中八策・生酒』も入荷!」ならば、宣伝色は薄れて、「こんな体験ができますよ」という「お客様の聞きたい」情報になっています。要するに、宣伝やPRではなく、「お客様が悦ぶことを伝えてあげたい!」という思いが伝わるということが最重要なのです! さらに、もうひとつ、ほとんどの商人が気づいていない、大変重要なポイントがあります。それは何かというと、お客様との「絆づくり」です。いくらお客様に対して、「来店したくなるような情報を提供する」ことをしっかり実践したとしても、そのお客様が実際に来店してくださるかどうかは、最終的にはお客様次第です。つまり、お客様が実際に来店してくださる確率を高めることが必要なのです。その確率を高める方法こそが、お客様との「絆づくり」なのです。あなたの店に絆を感じているお客様に対して、「来店したくなるような情報を提供する」ことが成されてこそ、実際に来店してくださる確率がグンとアップするということなのです。では、どうすればお客様との「絆づくり」ができるのかというと、これはもう「地道につながり続ける」ことしかありません。たとえば、毎週のように来店してくれていた常連客が、いつの間にかぱったりと来なくなったという経験は、飲食店の方なら誰しも経験があるでしょう。常連客がなぜ来店しなくなるのか、その一番の理由をご存じでしょうか?一番の理由は、意外かもしれませんが単純に「忘れている」のです。常連客が来店しなくなる理由に、何か気に入らないことがあったからなどの具体的な理由があることなどほとんどなく、一番多い理由は単純に「忘れている」だけのことなのです。「人は忘れる生き物である」という言葉は、商人ならば必ず常に念頭に置いておきましょう。高校時代に、親友と呼べるほど深い絆でつながっていると思っていた友人であっても、別々の大学に行って、いつの間にかほとんど会わなくなってしまっているという友人が、誰しもいるでしょう。親友でさえ、人はいつの間にか忘れてしまう生き物なのですから、常連客がいつの間にかあなたのお店のことを忘れて来店しなくなることなど、当たり前のことなのです。 ですから、お客様との「絆づくり」の最大のポイントは、お客様に忘れられないために、「地道につながり続ける」ということなのです。手紙でもハガキでもメールでもSNSでも構いませんので、可能なら月に1回程度のペースで定期的にお客様とつながり続けることです。そしてその内容は、宣伝やPRは逆効果になりますから絶対にしないこと。内容は、「来店したくなるような情報を提供する」のみならず、簡単な「来店の御礼」や、「ちょっとした自己開示」などの、人間くさい部分が意外に重要です。人は、誰かから丁寧に御礼を言われたり、「実はこんな趣味があるんです」などと「ちょっとした自己開示」をされると、その人にちょっとした親近感を覚えるものだからです。そして、このようなお客様と「地道につながり続ける」という実践は、時間も労力もかかる大変地味な行為であり、しかも一見ムダなことのように見えるため、ほとんどの商人が実践し続けることができないのですが、しかしその効果は間違いなく絶大であると、実は科学的にも証明されているのです!