<当会が守り育てていく「土佐伝統お座敷文化」とは>
食:皿鉢料理文化、土佐の酢みかん文化、土佐寿司文化など、土佐ならではの伝統的食文化。
酒:伝統的な土佐の食の美味しさを引き立てる、淡麗辛口の伝統的土佐酒文化。
人:全て「なかま」(共有)にして人を楽しませる、土佐ならではの伝統的おもてなし「なかま」文化。(杯を「なかま」にする返杯・献杯、宴会での自由な席の移動、皿鉢の自由な取り分け、老若男女や他人まで皆「なかま」!)※土佐弁で「なかま」とは、一般的な同士の意味に加え、共有・シェアの意味もある。
宴:箸拳・可杯など、土佐ならではの伝統的お座敷遊び文化。土佐ならではの家庭における伝統的「おきゃく(土佐流宴席)」文化。料亭などにおける伝統的土佐芸妓文化。
このNPO法人「土佐伝統お座敷文化を守る会」が設立され、その活動が活性化されていくならば、何が実現されるかというと、土佐酒と土佐伝統お座敷文化を核とした、「土佐の食・酒・人・宴のブランド化」です。もっというなら、「高知県全体のブランド化」であるとも表現できるでしょう。これは、「お酒はこれからどうなるか」において示された、第三の方向、「日本酒造りを核として地域再生を行うという社会的目的を持った方向」を、一層壮大にしたものであるといえます。さらにこの活動には、「國酒の地域経済学」において示された、意味を形成するうえで最も有力な資源である「伝統」と、伝統の見直し、つまり「伝統の現代化」も内在しており、しかも「立地特性」も内在されているのです。ただしこれは、土佐酒や土佐伝統お座敷文化がラグジュアリーを目指し、高価になっていくという意味ではありません。土佐の高知が、世界一宴が楽しい憧れの地として、日本中や世界中の国から仰ぎ見られるとするならば、それは「大衆」ならば「大衆」なりに、「中級」ならば「中級」なりに、「高級」ならば「高級」なりに、他県が決して真似のできない唯一無二の「ラグジュアリー」的な存在になれるであろうと考えているのです。
そして、日本酒のグローバル化の先に、ワインという巨人が待ちかまえているのならば、必ずや「酒道」が求められるときが来ると、私は確信しています。日本酒の「唎酒師」や「サケ・デュプロマ」などは、資格であり職業ですが、それはつまりはワインにおける「ソムリエ」に対抗するためのものであり、ちょっと表現は悪いかもしれませんが、しょせんは「ソムリエ」の物真似です。一方「酒道」とは、資格でも職業でもなく、それは「道」である以上、つまりは「生き方」なのです。海外にはない、日本にしかないこの「道」こそが、「酒道」こそが、外国人の方々に憧れを持って仰ぎ見られる存在に、日本酒を押し上げてくれるはずです。今はまだ夢物語かもしれませんが、50年後、100年後、200年後には、日本各地に様々な「酒道」流派が百花繚乱咲き乱れ、「酒道家」は世界中から憧れられる存在になっているであろうと、私は確信しているのです。