【門前編】ピンチをチャンスに変えた「酒国土佐人の飲酒美学『宴中八策』」!

First part of the gate

今回は、前回の「竹村の集大成!NPO法人『土佐伝統お座敷文化を守る会』設立!」の続編で、NPO法人のまず最初の活動として実施する「酒国土佐人の飲酒美学『宴中八策』」の普及活動をご紹介させていただきたいと思います。この飲酒美学が誕生した背景には、実はNPO法人の設立にとって大きなピンチの存在があったのです。そのピンチをチャンスに変えて生まれた、「酒国土佐人の飲酒美学『宴中八策』」はどのような経緯で誕生したのか、まずはそのあたりからお話させていただきましょう。 【大ピンチの中での「飲酒美学」の誕生!】 当NPO法人の設立準備をしている真っ最中の令和5年4月、まず高知県の某酒造会社社長の酒気帯び運転が発覚します。さらにその約1週間後、高知県中学校の某連盟理事長の酒気帯び運転も発覚。さらにさらにその約2週間後、高知県の某運送会社の管理職の飲酒運転も発覚します。さらに加えて、6月には高知県選出の某国会議員による飲酒の上での秘書殴打事件までが起こります。わずか3ヶ月ほどの間に立て続けに起こってしまったこの一連の飲酒がらみの事件により、高知県は「酒にゆるい」のではないかという声が、マスコミなどからも挙がりはじめていました。土佐の「食」「酒」「人」「宴」で高知県をブランド化しようとする当NPO法人の活動にとっては、これは大変由々しき事態です。このままでは、NPO法人の設立すら危ぶまれかねないという、大ピンチでした。 私はしばし落ち込み、悩みもしましたが、このあまりのタイミングで、しかも立て続けに起こった一連の飲酒がらみの事件を、天からの知らせではないかと捉え直して考えてみることにしました。このままの流れでNPO法人「土佐伝統お座敷文化を守る会」を設立してはいけないということを、天が伝えてくれているのではないかと考えたのです。「食が美味しい!酒が旨い!人が明るい!そして世界一宴が楽しい酒国土佐!」を土佐の高知の最大のウリとして当NPO法人が活動し、このまま日本中や世界中から観光客を集めた場合、土佐の高知は「酒飲みのユートピア」にはなれるかもしれませんが、その一方で観光客の増加と宴席の増加で、飲酒モラルの低下や治安の悪化という事態が起こってしまうのではないかと考えました。そのような事態を防ぎながらの、持続可能な観光振興やまちづくりの推進の実現が望まれているのだということです。さらに、よくよく考えてみますと、飲めない者に無理矢理飲ませたり、ツブし合ったりすることが土佐の宴席だと勘違いしている者も少なからず存在していることも懸念材料となっています。しかし、本来の土佐の高知の「おきゃく(土佐流宴席)」文化には、老若男女の区別なく子供や見知らぬ他人までも、飲める者も飲めない者も楽しめるよう、誰もが「なかま」となって一体となる、そんな素晴らしい宴席文化の世界が元々そこにはあったのです。そこで、そんな宴席文化の「伝統を現代化」し、次世代に繋げていくために、さらに「飲める者も飲めない者もみんな『なかま』になれる『宴のユートピア』」として、「世界一宴が楽しい酒国土佐」を全世界に向かって発信していくために、法や規律だからでもなく、誰に命令されたわけでもなく、酒国土佐人だからこそ、自らの哲学や矜持としての「酒国土佐人の飲酒美学」を全県民に普及させる事業から、当NPO法人の活動をスタートさせるべきであると思い至ったのです。この「飲酒美学」をよりインパクトのあるものにし、より高知県民にその存在をアピールするために、土佐の英雄・坂本龍馬さんが新政府のあり方について語った「船中八策」をもじって、「酒国土佐人の飲酒美学『宴中八策』」と命名しました。これを常に意識に刻みつけ行動してもらうために、名刺サイズのミニ冊子として全県民に普及させ、肌身離さず持ち歩いてもらうという事業を、当NPO法人のまず第一歩、最初の事業としてスタートさせることにしたのです。そんな「酒国土佐人の飲酒美学『宴中八策』」の第一稿としての素案は、以下のとおりです。なお、この素案は令和6年3月末時点のものであり、正式にミニ冊子として配布される際には、変更になる可能性もあることをご了承ください。 【酒国土佐人の飲酒美学「宴中八策」】 土佐ならではの伝統的おもてなし宴席文化である「おきゃく」文化は、「なかま」文化とも表現される。土佐弁で「なかま」には、一般的な同士の意味に加え、共有・シェアの意味もある。返杯・献杯・お座敷遊びで杯を「なかま」(シェア)にし、宴会で移動して席も「なかま」(シェア)にし、自由な取り分けで皿鉢料理も「なかま」(シェア)にし、老若男女の区別なく子供や見知らぬ他人までも、飲める者も飲めない者も楽しめるよう、誰もが「なかま」(同士)となって一体となる、そんな素晴らしい宴席文化の世界が元々そこにはあった。しかし、長期にわたるコロナ禍で、そんな土佐らしい密な宴席は何ひとつ実践できなかったため、このままでは絶滅が危惧されている。そこで、そんな宴席文化の「伝統を現代化」し、次世代に繋げていくために、さらに「飲める者も飲めない者もみんな『なかま』になれる『宴のユートピア』」として、「世界一宴が楽しい酒国土佐」を全世界に向かって発信していくために、法や規律だからでもなく、誰に命令されたわけでもなく、酒国土佐人だからこそ、自らの「飲酒美学」として、私たちは以下の「宴中八策」を意識に刻みつけ行動する。

①酒国土佐人たるもの、自らの酒量をわきまえ、後輩らから憧れられる飲み方を心掛ける。
大いにハメをはずし、返杯・献杯・お座敷遊び等で盛り上がって酌み交わし、席を移動しまくって周りを盛り上げながらも、自らの酒量をわきまえて、乱れることなく、情けない酔態をさらすことなく、後輩や若者らから「あんな飲み方のできる大人になりたい!」と憧れられるような飲み方を体現するよう心掛ける。

②酒国土佐人たるもの、飲めない者や弱い者も「なかま」にするも、無理強いはしない。
お酒に弱い者や、お酒が全く飲めない者や、普段は飲めるがたまたま飲めない者も、宴席の「なかま」として迎え入れて共に楽しみながらも、絶対に無理強いはせず、飲める者や飲みたい者だけが楽しく飲む。お座敷遊びなどで、仮にそのような者に罰杯が当たった場合は、一番近くにいる飲める者が悦んで即座に代わりに飲む。

③酒国土佐人たるもの、運転をする者も「なかま」にするも、飲ませはしない。
運転をする者も、宴席の「なかま」として迎え入れて共に楽しみながらも、絶対にお酒は飲ませない。お座敷遊びなどで、仮にそのような者に罰杯が当たった場合は、一番近くにいる飲める者が悦んで即座に代わりに飲む。

④酒国土佐人たるもの、20歳未満の者も「なかま」にするも、飲ませはしない。
20歳未満の者も、宴席の「なかま」として迎え入れて共に楽しみながらも、絶対にお酒は飲ませない。お座敷遊びなどで、仮にそのような者に罰杯が当たった場合は、一番近くにいる飲める者が悦んで即座に代わりに飲む。

⑤酒国土佐人たるもの、宴席にて議論は成すも、誹謗中傷・アルハラ・暴力行為はしない。
宴席において大いに議論を成すことはあっても、見境なく傍若無人にからんだり、他人を誹謗中傷したり、アルコールハラスメント的な行為をしたり、暴力行為におよんだりするようなことは恥と知り、断じて行わない。

⑥酒国土佐人たるもの、万一泥酔者が出た際は、1人にせず適切な初期対処を取る。
「なかま」から、万一泥酔者が出てしまったら、絶対に1人にせず、窒息を防ぐために横向きに寝かせる、衣服をゆるめて楽にする、毛布等をかけて体温の低下を防ぐなどの適切な初期対処を行い、危険と判断される場合は、迷わず救急車を呼ぶ。

⑦酒国土佐人たるもの、酒類規制や健康被害や健康効果等の正しい知識を得るよう努める。
酒類の規制についてや、適正な飲酒習慣に関する思想、アルコール飲料に関する正しい知識、アルコール飲料と健康等に関する正しい知識など、最新の知識を獲得するよう努める。
※参考:「公益社団法人アルコール健康医学協会」(http://www.arukenkyo.or.jp/

⑧酒国土佐人たるもの、「世界一宴が楽しい酒国土佐」を全世界に発信することに尽力する。
「食が美味しい!酒が旨い!人が明るい!そして世界一宴が楽しい酒国土佐!」が、土佐の高知の最大のウリであることを認識し、この地に「飲める者も飲めない者もみんな『なかま』になれる『宴のユートピア』」を実現するために、この最大のウリを全国に、全世界に向かって発信し続けることに尽力する。

<番外>「おまんどっから来たぜよ」おじさんと「おまさんどっから来たぞね」おばさんもともと見ず知らずの人も平気で自宅に招いて、大勢での宴席が大好きな県民性を持つ土佐の高知では、居酒屋などでたまたま隣り合わせた地元客が、県外客に次のような感じで話しかけることが少なくない。「おまん、どっから来たぜよ?」「ほうかよ、東京かよ。土佐は初めてかよ?ほいたらコレ、食べたことないろう?ウツボ、ウツボ!まあ、食べてみてちや!こじゃんと旨いき!」……という具合に、結構な高確率で県外客にご馳走するのだ。お金がなくても、お酒が入ると気分がよくなり、県外客に土佐のうまいものを教えたい気持ちが勝り、気前よく奢ってしまうのが土佐人気質であるため、「おまんどっから来たぜよ」おじさんや、「おまさんどっからきたぞね」おばさんが頻繁に出没するというのが、居酒屋などにおける土佐ならではの名物となっているのである。ディズニーランドに行ったなら、誰しもがミッキーやミニーに出会いたいもの。同様に、土佐の高知を訪れる県外客にとっては、「おまんどっから来たぜよ」おじさんはミッキーであり、「おまさんどっから来たぞね」おばさんはミニーなのである。

【マスコミ・銀行のトップらの理事就任、知事・市長も顧問就任に導く!】 NPO法人「土佐伝統お座敷文化を守る会」は、「土佐経済同友会」の「人づくり委員会」の活動として令和2年度からスタートし、4年間に渡る活動の末、令和6年1月に設立されました。終盤の令和5年度は、既に活動内容なども固まってきていましたので、様々な機会に県内経済界の方々にお話しさせていただいたり、あらゆる場所で講演もさせていただきました。そんな流れもあり、令和6年2月から3月にかけて、県内のマスコミ(新聞社1社、テレビ局4社)と銀行(3社)のトップの方々に、設立のご挨拶回りをさせていただいた際には、全員の方々が快く正会員として入会してくださり、理事就任も快諾していただくことができました。さらに、濵田高知県知事も顧問就任を快諾してくださり、桑名高知市長も令和6年4月1日より正会員(顧問にも就任)として入会を約束してくださったのです。そして、そんなご挨拶回りの際に、配布させていただいた資料の中で皆様の反応が最も良く、最も評価が高かったのが、この「酒国土佐人の飲酒美学『宴中八策』」だったのです。マスコミや銀行のトップの皆様を理事就任に、そして知事・市長も顧問就任に導いた最後の一押しが、この「宴中八策」であったのだといえるでしょう。 【厚労省初の指針「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」について】 おりしも令和6年2月19日、厚生労働省より初の指針「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」が公表され、新聞やテレビなどのマスコミ各社が一斉に報道を開始しました。そのキャッチコピーには、「1日当たり純アルコール20g以上で大腸ガンのリスクが高まる」や、「飲酒少量でも高血圧リスクが高まる」等の言葉が躍っており、酒類業界に大きな波紋を投げかけることになりました。私も、高血圧を抑える薬を服用していますので、妻から早速「飲酒は少量でも高血圧のリスクが高くなるとニュースで言ってたよ!」と強く訴えられてしまいました。要するに、この一連の報道も、ある意味で酒類業界にとってはピンチであるといえるでしょう。マスコミの方々は、分かりやすい報道といいながら、誤解を招きかねない表現をしてしまう場合があるのです。たとえば上記の「大腸ガンのリスク」や「高血圧リスク」などについても、実際の厚生労働省から公表されたガイドラインを読むと、「例えば、高血圧や男性の食道がん、女性の出血性脳卒中などの場合は、たとえ少量であっても飲酒自体が発症リスクを上げてしまうこと、大腸がんの場合は、1日当たり20g程度(週150g)以上の量の飲酒を続けると発症の可能性が上がる等の結果を示した研究があります。」という記述になっているのです。つまり、実際の表記は、「発症の可能性が上がる等の結果を示した研究がある」ということであって、「純アルコール20g以上で大腸ガンのリスクが高まる」と言い切っているわけでも、「飲酒少量で高血圧リスクが高まる」と言い切っているわけでもないのです。 さらに、このガイドラインの最初に掲げられている「趣旨」には、「本ガイドラインでは、飲酒に係る留意事項等を示しておりますが、アルコールによる影響には個人差があり、また、その時の体調等によっても影響が変わり得るものです。」と書かれており、さらにさらに、「アルコールを分解する体内の分解酵素のはたらきの強い・弱いなどが、個人によって大きく異なります。」や、「飲酒による疾患への影響については個人差があります。」といった、個人差についての表記が随所に見られるのです。また、「健康に配慮した飲酒の仕方等について」の④には、「飲酒の合間に水(又は炭酸水)を飲むなど、アルコールをゆっくり分解・吸収できるようにする(水などを混ぜてアルコール度数を低くして飲酒する、少しずつ飲酒する、アルコールの入っていない飲み物を選ぶなど)。飲む量に占める純アルコールの量を減らす効果があります。」との記載まであります。私たちがこれまで普及に務めてきた、「日本酒ときどき水」の「和らぎ水」の効果を、かの厚生労働省が正式に認めたということであり、これは大変喜ばしいことであるといえます。しかし残念ながら報道では、個人差や水の効果など、そのような部分までしっかり取り上げたマスコミの話を、私は聞いたことがありません。そのため、「飲酒少量でも高血圧リスクが高まる」等の酒類に対する否定的な言葉ばかりが喧伝され、蔓延しつつあるのです。それでなくても、2010年のWHO総会において「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」が採択されて以来、酒類に対する考え方は、世界中で年々厳しくなっており、健康被害が喧伝され、規制は厳しくなり続けています。さらに長期に渡ったコロナ禍においては、歯止めのかからない家飲みによるアルコール依存症の問題が喧伝されたり、「まん延防止等重点措置」や「緊急事態宣言」下にて飲食店での酒類提供が禁止されるなど、酒類だけが悪者扱いされてしまいました。このような流れのままで進んでいけば、酒類にとっては極めて厳しい未来が待っていると言わざるを得ないでしょう。つまり、いま酒類業界にとっては大ピンチの時代を迎えているのだといえるのです。 【酒類業界の大ピンチを天からの知らせと捉え直す!】 このような酒類業界にとって大ピンチの流れも、ここではあえて、天からの知らせではないかと捉え直して考えてみましょう。これからの時代は、これまで同様の提案方法や販売方法のままの酒類であってはいけないということを、天が伝えてくれているのではないかと、考えてみるということです。世界的な酒類に対する考え方や規制は、今後ますます厳しくなっていくという流れは、もはや止められないでしょう。アメリカにおける禁酒法の時代、酒類の取り引き全てがブラックマーケットに移ってしまい、飲酒モラルが極めて低下し、治安も著しく悪化したように、今後はそのような飲酒モラルが低く治安も悪い国や地域が、あちこちに現れてくることになるでしょう。しかし、たとえ人数は減るとしても、心ある飲み手たちは世界中に、確実に数多く存在し続けます。そしてそんな人々は、誰も、飲酒モラルの低いところや治安の悪い場所などでは飲みたくないはずです。そうすると、世界中の心ある飲み手たちは、飲酒モラルが高く治安の良い国や地域に集まってくることになるでしょう。 いま日本は、飲酒モラルが高く治安も良い国であると世界中から認識されているかもしれませんが、今後は外国人労働者の増加や移民の受け入れや外国人観光客などの増加などもあり、未来の日本も、飲酒モラルが高く治安も良いままであるという保証は全くありません。ならば日本においても、飲酒モラルが高く治安の良い場所に、日本中や世界中から、心ある飲み手たちが集まってくることになるのではないでしょうか。もっと言えば、しっかりとした飲酒哲学、飲酒美学、飲酒に対する矜持を持った、酒類メーカー、酒類卸、酒販店、飲食店を、日本中や世界中の心ある飲み手たちは選ぶようになるであろうともいえるでしょう。だからこそ、これからの時代は、酒類メーカーも、酒類卸も、酒販店も、飲食店も、しっかりとした飲酒哲学を、飲酒美学を、飲酒に対する矜持を、絶対的に持たなければならないのだと私は断言したいのです。NPO法人「土佐伝統お座敷文化を守る会」の「MISSION(使命)」は、「『土佐伝統お座敷文化』の力で、飲める者も飲めない者もみんな『なかま』になれる『宴のユートピア』を土佐の高知に実現する。」となっています。この「MISSION」を実現するために、まずその第一歩として私は、「酒国土佐人の飲酒美学『宴中八策』」を普及させる事業からスタートさせることにしたのです。皆様も是非、この「宴中八策」を参考に、皆様ならではの、あるいは皆様の地域ならではの、飲酒哲学や飲酒美学を考えてみていただきたいと思っています。