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- 【門前編】付加価値を上げファンを増やす、日本酒の「価値創造」とは?
First part of the gate
続いて小阪先生は、日本酒蔵元にとってとても大事なことは、長年に渡って自社の銘柄を飲み続けてくれる人を、いったい何人つくれるかということでしょうと語っています。この考え方をLTV(ライフタイムバリュー)といいます。日本語に訳せば「顧客生涯価値」で、つまり、顧客から生涯に渡って得られる利益のこと。1回の取引で得られる利益だけではなく、2回目以降の取引で得られる利益も含めて考えるということです。ある顧客が自社の利用を開始してから終了するまでの期間に、自社がその顧客からどれだけの利益を得ることができるかを表す指標であり、顧客一人一人の、年間購入金額×年数で表されるのだといいます。つまり、価値創造で売る=価値を教えれば、顧客は育ち、成長する→LTVが増える・・・・・・ということになります。ここまでをまとめると、価値創造ができるようになれば、価値あるものが売れるようになり、正当な価格で売れるようになり、すると値上げができて(高い価格が受け入れられる)、さらに顧客が成長して、LTVが増えるということになるわけです。そして、これが「幸せな安定」につながっていくのだといいます。例の過疎地の食品スーパーの鈴木さんは、かつては休みもないほど働いて、それでも利益はほとんど出なかったのに、いまや週休2日で、過去最高の売上を毎年更新し続けているというのですから、まさに「幸せな安定」状態といえるでしょう。そのかわり、POP等の愉しい売場の準備のために、その週休2日の1日を充てているのだとか。このような「売場の準備」等を、「余裕がないからできない!」という商人の方がいますが、それは本末転倒で、その準備をしないから、売上も上がらないし、余裕もなくなるのだと小阪先生は語るのです。
【「価値創造」を実現できるようになるために大切な2つのこと!】
最後に③の、「価値創造」を実現できる会社になるために大切な2つのこととは、です。これはつまり、人材育成の話なのだといいます。ちなみに小阪先生の会社は、コンサルタント業ではなく、もともと学習支援業であり、つまり学習塾などと一緒ということですから、この部分は得意とするところなのだと。どうやったら人材が育つかには、ポイントがあるのだというのです。まず、個人が「知るインプット」をすることからスタートし、それを「自分でもやってみる」ことで、少しは「できる・わかるようになってくる」、これをさらに「知るインプット」に回して、グルグルとこの一連のサイクルを回していくのだといいます。そうすると、「自分でもやってみる」のところで、脳の中で「振り返り」が起こり、さらに「外化(がいか=書く、話す等のアウトプットのこと)」されると、それが「フィードバック」されて、「自分でもやってみる」のレベルが上がっていくのだというのです(図B参照)。ちなみに、たとえ結果が出なかったとしても、レベルは上がるのだといいます。この時に、脳の中では、網の目のように張り巡らされている神経細胞のニューロンが、伸びていったり新しくできたりして、別のニューロンとくっついたりして、これまで無かった回路ができることになるのだと。振り返りがニューロンの連鎖をつくるのだというのです。そして、こんな回路がたくさんできて繋がりが増えれば増えるほど、より「できる・わかるようになってくる」になり、「できる人」になっていくのだといいます。ちなみに、慣れないことに脳を使うと物凄くシンドイため、2週目くらいまでで止めたくなりますが、そこを越えれば比較的楽にできるようになるのだとか。これが、人が「成長するサイクル」なのだと小阪先生は語るのです。
<図B>
そして、この「成長するサイクル」の「知るインプット」の部分には、「考え方やり方」や「生きた情報」や「他の現場の成功例」が必要ですから、「やっている人やれている人の中でやる」というのが、最高の「成長するサイクル」に乗れる環境ということになるのだといいます。さらに、「理論・手法がある」、「見習える人・現場がある」、「真似られる事例・アイデアがある」という環境があれば「集団的知性」に乗れるようになりますから、これが「集団の知恵」に乗れる環境なのだというのです。この「成長するサイクル」に乗れる環境と、「集団の知恵」に乗れる環境が揃えば、この2つが掛け算になり、「価値創造」を実現できる会社になっていくスピードが加速していくのだといいます。すなわち、「価値創造」を実現できる会社になるために大切な2つのこととは、「成長するサイクル」に乗れる環境と、「集団の知恵」に乗れる環境をつくることなのだと小阪先生は語るのです(図C参照)。そして小阪先生は、実践会の会員さんたちを思い返せば、入会時点では球根みたいな人だらけで、身動きがとれない人がほとんどだったのだといいます。そんな人たちも、良い環境さえ与えてあげれば、つまりこの大切な2つの環境を与えてあげれば、球根が芽を出し成長して、必ず花を咲かせるのだと、小阪先生は花畑の画像をバックに特別講演を締め括られるのです。
<図C>