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- 日本酒の種類一覧!それぞれの違いや特徴を知ってお酒をもっと楽しもう
Know this about sake!
日本酒は、全国各地の蔵元で造られた個性豊かな味わいを楽しめるのが魅力です。でも、実際に選ぶとなると種類が豊富で、飲んでみたいけど「違いがわかりづらい」「味がどう違うのかを知ってから選びたい」と悩むことも多いのではないでしょうか。
この記事では、日本酒の種類を原料や造りごとに説明し、それぞれの違いや特徴をわかりやすく一覧表で解説します。日本酒の種類によって、香りや味わいがどう違うのかも合わせて紹介していきますので、日本酒の種類を知りたい方、いろいろな日本酒を楽しみたい方はぜひ参考にしてください。
まずは、原料による分類をみていきましょう。日本酒は、基本的に「お米・米麹・水」から出来ていますが、製造工程で醸造アルコールを加えるかどうかによって、種類が分かれます。
純米酒は、醸造アルコールを使用せず「お米・米麹・水」だけを原料とした日本酒です。日本酒の中でも、使われているお米に由来する旨味や香りを、最も楽しめるのが特徴です。また、季節や料理に合わせて、さまざまな温度で楽しみやすい日本酒でもあります。
10℃程度の「花冷え(はなひえ)」や、15℃程度の「涼冷え(すずひえ)」に冷やしても、そのままの常温でも美味しく飲めて、30℃程度の「日向燗(ひなたかん)」、35℃程度の「人肌燗(ひとはだかん)」、40℃程度の「ぬる燗」などに温めれば旨味がアップし、温度ごとに違う一面を楽しめます。
本醸造酒は、「お米・米麹・水」のほかに醸造アルコールが少量加えられた日本酒です。醸造アルコールとは、主にサトウキビの搾り粕を発酵させて出来た純度が高いアルコールで、適量加えると淡麗な味わいになります。そのため、純米酒に比べ、サラッと飲める軽快な飲み口とすっきりとした味わいが特徴です。
ただし、醸造アルコールが加えられていれば、すべてが本醸造酒になるわけではなく、使用する醸造アルコールは、白米の重量に対して10%以下といった条件があります。また、吟醸造りでつくられた純米酒や本醸造酒は、吟醸酒の分類になるなど、他の条件もありますので、次の特定名称酒による分類一覧でみていきましょう。
日本酒は、平成4年まで二級、一級、特級の「級別制度」で区別されていました。しかし、級別制度が廃止されて以降は、国税庁が定めた「清酒の製法品質表示基準」により、特定名称による分類が行われています。特定名称は、原料や精米歩合などの要件で、次の表のように8つに分類されます。
特定名称 | 原料 | 精米歩合 | 麹米使用割合 | 香味等の要件 |
---|---|---|---|---|
大吟醸酒 | 米、米麹、醸造アルコール | 50%以下 | 15%以上 | 吟醸造りで、固有の香味、色沢が特に良好。 |
純米大吟醸酒 | 米、米麹 | 50%以下 | 15%以上 | 吟醸造りで、固有の香味、色沢が特に良好。 |
吟醸酒 | 米、米麹、醸造アルコール | 60%以下 | 15%以上 | 吟醸造りで、固有の香味、色沢が良好。 |
純米吟醸酒 | 米、米麹 | 60%以下 | 15%以上 | 吟醸造りで、固有の香味、色沢が良好。 |
特別本醸造酒 | 米、米麹、醸造アルコール | 60%以下、又は、特別な製造方法 | 15%以上 | 香味、色沢が特に良好。 |
特別純米酒 | 米、米麹 | 60%以下、又は、特別な製造方法 | 15%以上 | 香味、色沢が特に良好。 |
本醸造酒 | 米、米麹、醸造アルコール | 70%以下 | 15%以上 | 香味、色沢が良好。 |
純米酒 | 米、米麹 | 規定なし | 15%以上 | 香味、色沢が良好。 |
「特定名称酒」とは、原料、精米歩合、麹米の使用割合などの基準を満たす日本酒です。これら特定名称酒に当てはまらない日本酒は、「普通酒」と呼びます。
一覧表からわかるように、「純米酒」「本醸造酒」と呼ばれるには、原料以外にも要件があります。さらに、精米歩合や吟醸造りなどの要件によって8つに分けられ、一定の基準を満たすお酒のみが特定名称をラベルに記載できます。それぞれの「特定名称酒」と「普通酒」の違いをみていきましょう。
本醸造酒のうち、精米歩合50%以下のお米を使い、吟醸造りでつくられた日本酒(※精米歩合、吟醸造りについては後述)。華やかな香りが特に高く、軽快でクリアな味わい。
純米酒のうち、精米歩合50%以下のお米を使い、吟醸造りでつくられた日本酒。華やかな香りが特に高く、大吟醸酒に比べ、お米本来の旨味がやや多い。
本醸造酒のうち、精米歩合60%以下のお米を使い、吟醸造りでつくられた日本酒。華やかな香りがあり、軽快でクリアな味わい。
純米酒のうち、精米歩合60%以下のお米を使い、吟醸造りでつくられた日本酒。華やかな香りがあり、吟醸酒に比べ、お米本来の旨味がやや多い。
本醸造酒のうち、精米歩合60%以下のお米を使い、蔵元こだわりの特別な製法でつくられた日本酒。一般的な本醸造酒と比べ、製法によって特徴がでる。
純米酒のうち、精米歩合60%以下のお米を使い、蔵元こだわりの特別な製法でつくられた日本酒。一般的な純米酒と比べ、製法によって特徴がでる。
格付け3等以上、かつ精米歩合70%以下のお米と米麹、少量の醸造アルコールでつくられた日本酒。香りがひかえめですっきりと軽快な味わい。
格付け3等以上のお米と米麹からつくられた日本酒。お米を感じるふくよかな香りと旨味があり、さまざまな温度帯で楽しみやすい。
原料と精米歩合に厳しい規定はなく、お米と米麹、醸造アルコール、糖類などでつくられた日本酒。日常酒向きで、比較的手ごろな価格で楽しめる。
「精米歩合」とは、酒米の玄米を精米した後に残った白米の割合のことです。玄米の表層部には、お酒の雑味となるタンパク質や脂質などの不要な成分が含まれるため、精米作業で丁寧に取り除きます。精米は「米を磨く」ともいわれ、玄米を磨けば磨くだけ精米歩合の数値が低くなり、味わいが変わっていきます。
たとえば吟醸酒と大吟醸酒では、玄米を多く磨く大吟醸酒のほうが、より雑味のない、すっきりとした軽快な味わいになります。精米歩合は日本酒の仕上がりに影響するため、求める風味などを考え、造りたいお酒に合わせて絶妙な調整が必要です。
特定名称酒のうち「吟醸」と付く日本酒は、「吟醸造り」で造られます。吟醸造りでは、通常よりも磨きあげた精米歩合60%以下のお米を使って、低い温度でゆっくり発酵させ、素材や製法をより吟味して日本酒を造りあげます。時間と手間がかかり、吟醸酒特有の「吟醸香」を生み出すのが特徴で、いわゆるフルーティな日本酒というのは吟醸酒に多くなります。「大吟醸酒」と「純米大吟醸酒」は、さらに磨かれた精米歩合50%以下のお米をつかうことで、華やかな香りがさらに高くなります。
純米酒と本醸造酒には「特別」と名の付くものがあります。一般に、「吟醸酒」「純米吟醸酒」と違って「吟醸造り」ではないですが、精米歩合60%以下に磨いたものが多いです。ほかにも、特定の酒米を100%使用したもの、長期低温熟成したものなど、蔵元独自のコンセプトによって「特別」な製法で造られていることが特徴であり、ほかの日本酒と区別されています。
日本酒は、火入れや貯蔵方法、アルコール度数の調整などの製造方法の違いによっても、香りや味わいなどが変化します。 ここまで説明してきた日本酒の違いと合わせて、製造方法の違いによる種類と特徴についても知っておきましょう。
名称 | 特徴 |
---|---|
生酒 | 火入れをしていない、搾りたてのみずみずしくフレッシュな味わい |
生貯蔵酒 | 瓶詰め時に1度火入れし、「生酒」に近い爽快でスッキリした味わい |
生詰酒 | 濾過した後に1度火入れし、「生」の風合いを残したなめらかな味わい |
新酒 | できたてのピチピチとした刺激や荒々しさのあるフレッシュな味わい |
古酒 | 長期間貯蔵・熟成し、琥珀色で熟成香のあるとろりとした個性的な味わい |
樽酒 | 杉や檜の樽で寝かせた、木の香りを活かしたまろやかな味わい |
原酒 | 搾ったままのアルコール度数で、お米の風味を直に感じる濃厚な味わい |
高濃度酒 | アルコール度数を高く調整した、好みにアレンジできる刺激の強い味わい |
ソフト酒 | アルコール度数を低く調整した、初心者でも飲みやすい軽い味わい |
にごり酒 | あえて酒粕の成分を残して白く濁らせた、お米の香りや旨味のある味わい |
発泡清酒 | 炭酸を含んだ爽快な飲み口と、日本酒ならではの芳醇な香りや味わい |
日本酒は、味の変化を防ぐため製造工程のなかで酵素の働きを止める「火入れ」を行います。通常は、殺菌を兼ねて「搾って濾過した後」と「日本酒を瓶詰めした時」の2回行われますが、「生」と名の付く日本酒は火入れの仕方に違いがあります。
1度も火入れを行わず、搾りたてのフレッシュな味わいを楽しめるのが特徴です。
できあがった日本酒を瓶詰めする時に1度だけ火入れを行います。「生酒」に近いフレッシュさと爽快でスッキリした味わいが特徴です。
搾って濾過した後に1度だけ火入れを行います。「生」の風合いを残しつつ、鮮度感のある味わいが特徴です。
日本酒は、貯蔵期間や貯蔵方法によって香りや味わいが変化します。できたての「新酒」から、長期熟成させた「古酒」、一味違った貯蔵方法の「樽酒」まで、個性豊かな香りや味わいを楽しめます。
できたばかりの日本酒ならではの荒々しさがあり、ピチピチとした刺激やフレッシュな味わいが特徴です。
長い年月をかけ貯蔵・熟成されて変化した黄色みがかった「琥珀色」で、果実が熟したような「熟成香」ととろりとした口当たりが特徴です。個性的な香りや味わいが楽しめます。
杉や檜で造られた樽で日本酒を貯蔵することで生まれる、木の爽快な香りとまろやかな口当たりが特徴です。江戸時代からある貯蔵方法のひとつで、「鏡開き」で使われるほか、樽の風味をつけてから瓶に詰め替えたものがあります。
発酵を終えた日本酒はアルコール度数18度程度と高くなっています。通常は飲みやすくするために、瓶詰め前に水を加えてアルコール度数を15度程度に調整する「割水」を行いますが、なかにはアルコール度数の違う日本酒もあります。
熟成後そのままのアルコール度数を調整していない日本酒です。水を加えていないため、濃醇な風味をダイレクトに楽しめます。
アルコール度数をさらに24度程度から36度程度に高くなるよう醸造した日本酒です。刺激が強く、水割りやカクテルなど自分好みにアレンジして楽しめます。
アルコール度数を10度程度から14度程度に低く醸造した日本酒です。軽くソフトな口当たりで、女性やお酒があまり強くない方でも飲みやすく、軽く酔いたい時などにおすすめです。
日本酒の魅力は、それぞれに違う個性と味わいを楽しめることです。お米から造られる日本酒ならではの個性を活かしたものや、新たな個性を加えた日本酒の進化系といえるものもあります。
製造工程のなかで熟成したもろみから日本酒を搾る際、あえて目の粗い布袋で濾し、酒粕の成分を残して白く濁った状態にした日本酒です。濃厚なお米本来の香りや旨味をより深く感じられるのが特徴で、にごり部分のトロッとした味わいと、上澄み部分のスッキリした味わいの両方を楽しめます。
「スパークリング日本酒」ともいわれ、シャンパンと同じ製法で瓶詰め後に「瓶内二次発酵」させて炭酸ガスを溶け込ませたものや、瓶詰めの際に炭酸ガスを注入したものがあります。シュワシュワとはじける爽快な飲み口と、日本酒ならではの芳醇な香りや旨味を同時に味わえるのが特徴です。日本酒好きの方だけでなく、日本酒初心者の方にもおすすめです。
日本酒には、さまざまな種類がありますが、日本酒を楽しむために知っておくとよいのが香味の特性です。ここまで説明してきた日本酒の香りや味わいの特徴を、大きく4つのタイプに分け、それぞれの違いや楽しみ方を紹介します。
種類 | 特徴 |
---|---|
大吟醸・吟醸タイプ | 花や果実のような華やかでフルーティな香りと、軽快な味わい |
純米酒タイプ | お米を感じるふくよかな香りと、旨味やコクのある味わい |
生酒タイプ | ひかえめな香りと、軽快でスッキリとしたなめらかな味わい |
熟成酒タイプ | 琥珀色で、熟成香のあるとろりとした個性的な味わい |
純米酒タイプは、日本酒のなかでも特にお米の旨味を感じられるのが特徴です。お米を感じるふくよかな香りとコクのある味わいは、さまざまな温度で楽しむことができ、15℃程度の「涼冷え(すずひえ)」に冷やしても、20℃程度の「常温」でも美味しく、40℃程度の「ぬる燗」に温めると旨味が増すのでおすすめです。食中酒に最適で、さまざまな料理との相性が良く、和食に限らず肉料理や魚料理にも合います。
生酒タイプは、「淡麗」とも表現され、日本酒で最も軽快でなめらかな味わいが特徴です。香りはひかえめで、5℃程度の「雪冷え(ゆきひえ)」や10℃程度の「花冷え(はなひえ)」に冷やして飲むと、みずみずしさやスッキリとした清涼感が活き、生酒ならではのフレッシュさを楽しめます。相性の良い料理の幅が広く、素材をシンプルに味わう料理や、酸味のあるさっぱりとした味付けの料理に合います。
熟成酒タイプは、日本酒で最も香りや味わいが個性的なのが特徴です。琥珀色の黄色みがかった色調で、とろりとした甘みや酸味のある味わいと、「熟成香」といわれるドライフルーツやスパイスのような深い香りを楽しめます。熟成年数が長いものほど香りが強く、最初は熟成年数の浅いものから試すのがおすすめです。好みがわかれやすいタイプですが、濃い味付けの料理やスパイシーな料理に合い、食後酒にも適しています。
日本酒は、原料や造りによってさまざまな種類があり、それぞれに違った香りや味わいを楽しめることを理解していただけたと思います。「日本酒の種類をもっと知りたい」「いつもと違う種類の日本酒を試してみたい」なら、日本酒について学ぶのがおすすめです。
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