- HOME
- 日本酒が飲めない人にも楽しんで欲しい!日本酒の魅力と飲まない活用法
Know this about sake!
お酒をまったく受け付けない体質の人は、絶対に無理して飲んではいけませんが、他の「お酒は飲めても日本酒が飲めない」という人で、贈答品などで頂いた日本酒が手元にあるなら、この記事を参考にぜひ一度試してほしいと思います。
この記事では、日本酒が飲めない人がチャレンジするうえで知っておくべきポイントや、飲み方の注意点、飲む以外での日本酒の使い道についてわかりやすく解説しています。日本酒を最後まで無駄なく楽しむための参考にしてください。
お酒に弱い、または、まったくアルコール類を受け付けない体質が理由で「日本酒が飲めない」人もいれば、他のお酒は飲めるけど日本酒は「飲めない」「飲まない」という人もいます。あえて日本酒を飲まない主な理由には、「味や香りが苦手」「アルコール度数が高い」「二日酔いする」「高価」などがあり、日本酒が持つ伝統的や大人向けといったイメージや、飲み会で無理やり飲まされた嫌なイメージなどが、苦手意識に影響していることがあるようです。
しかし、もしかすると、苦手意識を持っているのは色々な楽しみ方がある日本酒の一側面だけで、まだ美味しいと感じられる日本酒に出会えていなかったり、美味しく飲める方法を知らなかったりするだけなのかもしれません。
選べる種類や銘柄が多く、それぞれに味わいや香りが異なる日本酒には、初心者や苦手意識のある人がチャレンジするときのポイントがあります。日本酒をひとくくりに「飲めない」とするのではなく、幅広い楽しみ方があることを知って、興味のあることからぜひ試してみてください。
日本酒を初めて飲む人や、そのままでは飲みにくいと感じる人がチャレンジするときは、飲みやすい日本酒から試してみたり、苦手な理由に合わせて少しアレンジしたりするだけで、日本酒の印象が変わります。チャレンジするときのポイントを押さえておきましょう。
日本酒初心者や香味が苦手な場合は、比較的飲みやすい「吟醸酒」や「大吟醸酒」から始めるのがポイントです。手元にあるお酒が「吟醸」と付くお酒であれば、ぜひ味わってみてください。いわゆる「フルーティで飲みやすい日本酒」というのは、この「吟醸」と付く日本酒に多い特徴なので、意外と抵抗なく飲めるかもしれません。
香りや味わいを左右する原料、精米歩合、造りなどの一定基準を満たした日本酒だけが冠することのできる「特定名称酒」のなかでも、「吟醸」と付くお酒は、より素材と製法を吟味した「吟醸造り」で造られています。通常の日本酒よりも一層磨き上げたお米を使用し、低い温度でじっくりと発酵させることで、「吟醸香」といわれるフルーティで華やかな香りと、やさしい飲み口のすっきりとした飲みやすいお酒になります。
ちなみに、特別名称酒は原料や製法ごとに8つに分けられており、吟醸造りで作られている特定名称酒には「吟醸酒」と「大吟醸酒」のほか、「純米吟醸酒」と「純米大吟醸酒」があります。
特定名称 | 原料 | 精米歩合 | 麹米使用割合 | 香味等の要件 |
---|---|---|---|---|
大吟醸酒 | 米、米麹、醸造アルコール | 50%以下 | 15%以上 | 吟醸造りで固有の香味があり、色沢が特に良好。 |
純米大吟醸酒 | 米、米麹 | 50%以下 | 15%以上 | 吟醸造りで固有の香味があり、色沢が特に良好。 |
吟醸酒 | 米、米麹、醸造アルコール | 60%以下 | 15%以上 | 吟醸造りで固有の香味があり、色沢が良好。 |
純米吟醸酒 | 米、米麹 | 60%以下 | 15%以上 | 吟醸造りで固有の香味があり、色沢が良好。 |
特別本醸造酒 | 米、米麹、醸造アルコール | 60%以下、又は、特別な製造方法 | 15%以上 | 香味、色沢が特に良好。 |
特別純米酒 | 米、米麹 | 60%以下、又は、特別な製造方法 | 15%以上 | 香味、色沢が特に良好。 |
本醸造酒 | 米、米麹、醸造アルコール | 70%以下 | 15%以上 | 香味、色沢が良好。 |
純米酒 | 米、米麹 | 規定なし | 15%以上 | 香味、色沢が良好。 |
吟醸酒のようにフルーティな香りではない、一般的な日本酒特有の香りが苦手なら、よく冷やすことで香りが落ち着いて飲みやすくなります。徳利(とっくり)とお猪口(おちょこ)で飲んだ「燗酒」の記憶が強く、日本酒に苦手意識を持っているのなら、ぜひ一度試してみてください。日本酒は、温めても冷やしても美味しく楽しめるお酒です。温めると旨味が増して香りと味わいが芳醇になり、冷やすと香りが抑えられてすっきりとした味わいに変化するので、季節や料理に合わせてさまざまな温度で楽しめます。日本酒を5℃~15℃程度によく冷やして、ワイングラスやシャンパングラスで飲めば、これまでの日本酒のイメージからガラリと変わるはずです。
日本酒は、アルコール度数が15度程度あり、5度程度のビールや13度程度のワインに比べて、そのままでは飲みにくいと感じることがあります。お酒は飲めるけど、アルコールが強いのがダメな場合は、氷や炭酸水で割ることでアルコール度数を下げてみましょう。意外かもしれませんが、市場に出回っている日本酒の多くが、搾りたての原酒に加水(割り水)をすることで、アルコール度数や味わいを整えていますので、抵抗感を感じる必要はありません。
日本酒にたっぷりの氷を入れて飲む「日本酒ロック」にすれば、日本酒らしさを残しつつ適度に度数が下がり、冷えることで口当たりがまろやかになって飲みやすくなります。また、日本酒と炭酸水を「1対1」や「3対2」程度に割れば、シュワっとした爽快感と日本酒のやさしい甘みを感じられる「日本酒ハイボール」を楽しむこともできます。
お酒は好きだけど、日本酒そのものが飲みにくいと感じているなら、好きな飲料やフルーツで割る「日本酒カクテル」にすると、自分好みの香味に調整出来て飲みやすくなります。日本酒といえば、そのままで飲むイメージが強いですが、日本酒の透明感とお米で出来たシンプルな味わいは、実はカクテルのベースに適しています。
レモンや柚子、ライムなどの柑橘類と割って、酸味のあるすっきりした味わいに変えたり、乳酸菌飲料で割ってやさしい甘みを加えたり、イチゴやブドウを入れて見た目も可愛くしたりと、その日の気分や自由な発想で幅広いアレンジが楽しめます。
日本酒そのものをアレンジするだけでなく、日本酒と料理を組み合わせる「ペアリング」もお酒を美味しくする方法のひとつです。日本酒と料理のペアリングには、それぞれの美味しさを引き出す相乗効果があり、一緒に楽しむことで食事やお酒がついついすすんでいきます。
お米で造られている日本酒は、炊きたてのご飯がいろんな料理と合うように、和食だけでなく洋食や中華などの幅広いジャンルの料理とよく合うため、手元のお酒がなくなるまで色々とペアリングを試してみるのも面白いでしょう。地方の地酒を持っているのであれば、同じ産地の特産品を取り寄せれば、美味しく楽しめるだけでなく旅行気分も味わえます。
せっかく日本酒にチャレンジしても、二日酔いや悪酔いしてしまっては、次につながらずに終わってしまいもったいないですよね。日本酒は他のお酒に比べてアルコール度数が高く、日本酒を飲み慣れていない人ほど飲み方に注意が必要です。理想的な飲み方について知っておきましょう。
どんなお酒でも、飲みすぎが身体の負担となるのは言うまでもありませんが、慣れない日本酒を飲むときは、一口ずつゆっくりの飲酒ペースで飲みましょう。日本酒は、他のお酒に比べてアルコール度数が高いため、ビールのように速いペースで飲んでしまうと、二日酔いや悪酔いする可能性があります。日本酒は、お米の旨味や香りをじっくりと味わいながら楽しめるお酒です。ゆっくりと飲みすすめれば、自然と飲酒ペースが落ちて飲みすぎるのを防げます。もし、お酒の席で飲むのを急かされても、無理はせずに自分の飲酒ペースを保つよう心がけてください。
日本酒を飲む合間に水を飲むと、二日酔いや悪酔いを防いでくれます。日本酒と交互に飲む水を「和らぎ水」といい、洋酒を飲むときの「チェイサー(追い水)」と同じように、体内のアルコール濃度の上昇を抑え、酔いが回る速度をゆるやかにしてくれます。とくに日本酒を飲み慣れてない人は、日本酒だけでは飲酒ペースが速まり、飲みすぎてしまうことがあります。近くに水の入ったグラスを準備して、合間に水をはさみながら飲みすすめましょう。水を飲むことで口内がリセットされ、お酒や食事をより美味しく味わえる効果もあります。
日本酒を飲むときは、一緒におつまみや食事をとると身体への負担を軽減できます。合間に食べることで、飲酒ペースが落ち着き飲みすぎるのを防ぐだけでなく、空腹の状態で飲むよりもアルコールの吸収速度をゆるやかにして、肝臓への負担を軽減します。選ぶおつまみや料理も、肝臓によい良質なたんぱく質やビタミン類、タウリン、オルニチンを摂取できるものがおすすめです。たとえば、白身魚のカルパッチョ、鶏むね肉とレンコンのきんぴら、タコとトマトのサラダ、シジミとわかめのスープなど、できるだけ油分や塩分の少ない料理を選ぶとよいでしょう。
日本酒は、飲む以外にも楽しみ方や使い道があります。お酒に弱い体質の人や、アレンジしてもどうしても飲めない場合は、もらったり余ったりした日本酒をぜひ料理に活用してみてください。少量加えるだけで、いつもより美味しさがグレードアップします。
日本人の日々の食卓に欠かせないものといえば、美味しいご飯です。お米には甘みや旨味、粘りに特徴のあるさまざまな品種があり、秋に出回る新米が美味しいとされています。ですが、収穫から時間が経った古米は、水分量が少なく炊き上がりが硬くなったり、古米特有の匂いがあったりします。そんな古米でも、ご飯を炊くときに日本酒を少量加えれば、ふっくらとツヤが出て甘みやコクが増し、より美味しいご飯に仕上がります。作り方はとても簡単で、ご飯を炊くときにお米1合あたり小さじ1~2杯程度を加えるだけ。日本酒の糖分やアミノ酸が甘みやコクになり、消臭作用で古米の香りが抑えられます。入れすぎると日本酒の香りがきつく感じられるので気を付けましょう。
料理に使うお酒といえば、「料理酒」が思い浮かぶかもしれませんが、日本酒を調味料として使っても料理の美味しさがアップします。日本酒には、次のような調理効果があります。
・旨味やコクが増す
日本酒に含まれているアミノ酸には、旨味成分であるグルタミン酸が豊富なため、料理の旨味やコクをアップします。
・魚や肉の臭みを取り除く
日本酒のアルコールや有機酸には消臭作用があり、日本酒の上品な香りを加える効果があります。
・素材をやわらかく仕上げる
日本酒は、料理酒と違って塩分を含まないため食材の水分を奪わず、アルコールや糖分が肉や魚介類の筋繊維の保水性を高めてやわらかくします。
・まろやかな味になりよく染み込こむ
日本酒の甘みと旨味成分が料理の塩味や酸味をまろやかにし、アルコールの作用で味が染み込みやすくなります。
調味料を使う順番は、「さ(砂糖)、し(塩)、す(酢)、せ(醤油)、そ(味噌)」といいますが、実は最初にもう一つ「さ(酒)」があり、「さ・さ・し・す・せ・そ」が本当の順番ともいわれています。日本酒を最初に加えることで味が染み込みやすくなり、少量の味付けでも美味しく仕上がることから、減塩効果が期待できます。ですが、日本酒を最後に料理へ振りかけて仕上げる場合は、体質や運転などへの影響に注意が必要です。ちなみに料理酒は、塩分や甘味料、酸味料などが加えられていることが少なくないため、使用の際は塩分や甘みの加え方に気を付けましょう。
古くから「酒は百薬の長」といわれ、日本酒の適度な飲酒は健康や美容にさまざまな効果をもたらします。日本酒を飲めない人でも、健康や美容の効果を実感できる方法がありますので、興味のある方はぜひ試してみてください。
日本酒は、健康維持に必要なアミノ酸やビタミン、ミネラル、有機酸などの栄養素が豊富に含まれています。とくに、私たちの身体を作るために重要な役割を担っているアミノ酸は、アルコール飲料の中でも特に多く、体内で生成できない「必須アミノ酸」など全20種類が含まれています。その他、美肌効果や美白効果のある美容成分、病気や生活習慣病を抑制する成分、身体の不調を改善する成分、リラックスやストレス解消に効果のある成分など、多種多様な有効成分が含まれており、健康や美容に効果的です。たとえば、次のような有効成分があります。
成分 | 効果 |
---|---|
アミノ酸 (全20種類) | 血管や内臓、筋肉、皮膚などのもととなるタンパク質を構成し、人間の生命活動を支える |
麹酸 | 美白効果、育毛効果、老化予防効果 |
フェルラ酸 | 美白効果、抗酸化作用、活性酸素の抑制 |
α-グルコシルグリセロール | 保湿効果 |
アデノシン | 血流促進、身体の不調改善、ストレス解消、リラックス効果 |
インスリン様物質 | 血糖値を下げる |
ペプチド | 血圧を下げる、学習や認知機能を高める |
エポキシコハク酸誘導体 | 骨粗鬆症の予防、アレルギーの抑制 |
s-アデノシルメチオルニン | 抗うつ効果 |
イノシトール | 血管や肝臓のコレステロールを流れやすくする |
これらの有効成分を、飲む以外で活かす方法を2つご紹介します。
入浴は、疲れをとったりリラックスしたりと、心身の回復にとても効果的です。さらに、日本酒を湯船に入れて入浴剤として使うと、美容や健康に効果のある日本酒風呂が楽しめます。38℃程度の湯船にコップ1~2杯の日本酒を入れて浸かると、アデノシンの効果で血流が促進されて全身の代謝がアップし、アロマ効果で自律神経が落ち着きよりリラックスできます。そして、麹酸やアミノ酸などの美容成分がしっとりと肌のキメを整えるだけでなく、シミやソバカスの原因となるメラニン色素の生成を抑える美白効果を発揮します。美容や健康に効果的な日本酒風呂で、ちょっと贅沢なバスタイムを過ごしてみてはいかがでしょうか。
日本酒には美容成分が豊富に含まれていることから、日本酒造りに携わる人には色白で美肌の人が多いといわれ、実際に化粧品やスキンケア用品に配合されている商品が多く登場しています。実は、手作りでも簡単に美容効果たっぷりの日本酒化粧水が作れるのをご存じですか?
材料は、「日本酒(純米酒)」「精製水」「グリセリン」「化粧水用ボトル」で、日本酒と精製水の量を1:1を目安にボトルに入れ、グリセリンを数滴たらして冷やせば出来上がりです。保存料が入っていないため冷蔵庫で保管し、1週間程度で使い切りましょう。香りが気になる場合は、日本酒の量を好みに合わせて調節してください。日本酒が飲めなくても、日本酒の美容効果を実感できるはずです。
日本酒風呂や日本酒化粧水について紹介してきましたが、もともとお酒に弱い体質の人の場合は注意が必要です。飲まない日本酒の活用法ではありますが、直接肌に触れる使い方のため、使用前に必ずパッチテストを行いましょう。日本酒、または日本酒化粧水を、肌がやわらかい上腕の内側に少量つけて、7分後~10分後に肌に赤みが出てないか、その他の異常はないかを確かめます。健康や美容に効果があるといっても、パッチテストで反応が出た場合は、絶対に使用しないでくださいね。
日本酒が飲めない人でも、飲めない理由に合わせてアレンジしたり、飲む以外の活用法で楽しめることを理解していただけたと思います。「日本酒の活用法をもっと知りたい」「日本酒をもっと楽しみたい」なら、日本酒について学ぶのがおすすめです。
日本酒で人生を豊かにする「酒道」を掲げた「酒道黒金流」では、日本酒のさまざまな活用法や、日本酒の知識や楽しみ方、日本酒を通じて得られる「幸福な人生」「豊かな人間関係」「地域の食文化・酒文化」について学ぶことができます。
日本酒が飲めない人向けの楽しみ方や活用法についてもっと知りたい方は、まずは「酒道黒金流」の無料コンテンツ「「酒道 黒金流」門前編」の次の動画を参考にしてください。
酒道黒金流|日本酒が苦手な方がチャレンジする場合、お薦めの順番がある!
酒道黒金流|10.お酒に弱い、または日本酒嫌いのあなたへ
酒道黒金流|11.まったく飲めないあなたへ
「酒道黒金流」では、創業400年を超える老舗日本酒蔵元「司牡丹」の社長自らが経験を交え、動画や文章でわかりやすく解説しています。司牡丹酒造の特別な日本酒や、定期的にオンライン交流を楽しめる有料コンテンツもありますので、興味のある方はぜひ参加してみてください。
日本酒は、そのまま飲むだけでなく幅広い楽しみ方ができるお酒です。苦手意識があって飲めない人や、お酒に弱い体質が理由で飲めない人でも、さまざまな方法で日本酒の良さを実感できます。アレンジを少し加えるだけで日本酒のイメージが変わるほど飲みやすくなったり、調味料として料理に入れると旨味やコクが出たり、入浴剤や化粧水として使うと健康や美容に効果があったりと、余すことなく楽しめます。まずは、興味のあることから試してもらい、日本酒への苦手意識の克服や、有効な活用法を知るきっかけとなって、日本酒の良さに気づいていただければ幸いです。